会社を解散して清算手続きを進める際の清算人はどのように選ぶのか?
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1. はじめに
法人や合名・合資などの団体は、その存続期間の満了や解散原因の発生により、解散することがあります。解散しても、その団体の財産を処理し、最終的に清算をしなければならないですが、そのための中心的役割を担うのが「清算人」です。
清算人は、団体の解散時に財産の調査や換価、債権の弁済、残余財産の配当などを行うために選任され、適切な清算人を選任することが団体の円滑な解散と適正な財産処理にとって不可欠です。
本稿では、解散時において清算人をどのように選ぶか、その手続き、法的根拠、選び方のポイントを詳しく解説します
2. 法的根拠と原則
2.1 会社法・商法における根拠法規
まず、会社法による法的根拠として、
「会社法第647条」や「第648条」に基づき、解散後の清算人の選任と届出義務が規定されています。
2.2 原則 – 自動的に代表者や役員が清算人となる
解散の決議とともに既存の役員(取締役や代表者等)が自動的に清算人となることが多く、あらかじめ役員が解散・清算のための取決めをしているケースが多いです。
3. 清算人の選任方法
3.1 既存役員の自動選任
最も一般的な方法は、「解散の決議とともに役員がそのまま清算人」となる方法です。
- 定款や定款の規定に基づき、役員のうちの一人または複数が自動的に清算人に指定される。
- 役員が複数いる場合は、その中から一人または複数を選任。
この場合、解散決議により、その決定内容をもって清算人となることが多いです。
3.2 株主総会・社員総会の決議による選任
- 定款に規定がない場合や特定の規定により、解散後に株主総会または社員総会の決議を経て清算人を選任するケース。
- そのための手続きとして、解散決議の後、一定期間内に株主または社員の決議を行う必要あり。
これにより、新たに第三者や外部専門家等を清算人に選ぶことも可能になります。
3.3 裁判所の選任
- 整理・清算手続きにおいて、株主・社員の選任に問題がある場合や、適切な清算人の選任が必要と判断される場合は、裁判所に申し立てて選任してもらうことも可能。
- 特に、相続や法人解散の際に、利害関係者間で清算人の適格性に争いがある場合など。
4. 選任の留意点とケーススタディ
4.1 選任の基準と望ましい要件
- 利害関係の中立性:自己の利益優先ではなく、団体の円滑な解散・清算を管理できる適格性。
- 法人内部の役員:役員経験や団体の運営に詳しい者。
- 外部専門家の採用:弁護士や税理士、会計士などの専門職を選任し、法的・財務的な適正処理を行える。
4.2 具体的な選任例
- 株式会社の場合:定款に「解散時は役員が清算人となる」と規定されているなら、役員がそのまま清算人となる。
- 合同会社の場合:定款に特段の規定がなければ、社員(出資者)が自動的に清算人となるか、社員総会決議で選任
5. 清算人の権限と義務
選ばれた清算人は、以下のような権限と義務を持ちます。
- 資産の調査と換価:資産や債務、負債の確定。
- 債権者への通知と弁済:必要な場合は公告や通知を行う。
- 債務整理と残余財産の配分:すべての債権者に対する弁済と、残った財産の最終的な配当。
- 登記申請等:登記を行い、解散・清算の事実を公示する。
また、清算中に違法行為や過失による損害が生じた場合は、責任を負うこともあるため注意が必要です。
6. まとめ
解散に伴う清算人の選任は、法人の種類や定款の規定に従い、株主総会や社員総会の決議、または法定の規定に基づいて行われます。
規定がない場合には、役員が自動的に清算人となることが一般的ですが、必要に応じて裁判所により選任されるケースも存在します。
適切な清算人の選任は、解散後の財産の円滑な整理や法的な手続の正確性を確保し、紛争や不正を防止するために不可欠です。したがって、選任にあたっては、その資質や中立性、法的な要件を十分に考慮し、慎重に進める必要があります。
円滑な解散と清算を実現するためには、定款規定の整備や、必要に応じた専門家の選任など、事前の準備と判断が重要となると言えます。