特例有限会社が解散する際には、定款の内容が重要な役割を担っています。株式会社と異なり、定款で解散事由や清算人の定めがある場合、これに基づいて解散登記や清算人の選任が行われることになりますが、この定款の必要性について解説します。

定款の法的意義と役割

定款は会社の根本規則で、設立や運営、解散など基礎的事項を定めています。特例有限会社では、会社法では、

「定款で定めた存続期間の満了」

「定款で定めた解散事由」

等が発生した時が法定解散事由となります。

したがって、解散を登記する際には、定款の当該条項が解散の根拠資料として必要となってくるということです。

解散登記手続きにおける定款の必要性

例えば、次のような場合を証明するために定款の提出が必要となります。

  • 登記申請時、解散事由が定款による場合は、その該当する定款条項(存続期間や解散事由の記載など)を添付または提示する必要があります。
  • 清算人に関する定めが定款にある場合も、登記手続きでその内容が求められます。清算人というのは、清算会社になった場合に一人又は二人以上の清算人というものを置いて会社の清算手続きを進める必要があり、この場合その清算人の選び方を定款で定めていれば、その証明として定款を提出しなければならず、定めていなかったとしてもその定めていないことを示すための書類として定款が必要となってきます。
    →定めていない場合の清算人については、従前の取締役が清算人となるため、法定清算人として就任することになります。
  • 株主総会決議による解散なら議事録が必要ですが、定款による場合は定款そのものが根拠となり、登記官がその内容を確認するため必須書類となります。

制度上の背景

特例有限会社は旧有限会社法のもと設立された会社で、会社法施行により「みなし株式会社」として存続しています。定款の効力も引き継がれており、会社法の規定に沿って解散登記や清算人選任登記を行います。

定款で解散事由を定める場合、一般に「会社設立の日から○年満了で解散」と記載されます。前述の通り、その事由が達成されたことを証するため、定款の該当条項を法務局に提出します。

定款が不要な場合

解散原因が株主総会決議・合併・破産・裁判所命令等の場合は、定款の添付は不要となります。議事録や裁判書類が根拠となります。

注意について

実際には定款による解散事由を定めている会社は少ないですが、万が一記載があれば、その条項が強い法的効力を持つため、解散手続の核となります。

古くから定款をもっているが特に中身を閲覧してこなかった等の場合、その定款内に解散や清算人に関する記載がされているかどうかという判断もつかないため、解散等の手続き時には必ず確認するようにしましょう。

逆に定款が紛失・不存在の場合、解散事由に該当しない限り登記は認められません。そのため定款の管理はしっかりしておく必要があります。

まとめ

特例有限会社の解散手続において定款が必要となる理由は、会社の解散原因の一つが「定款で定めた解散事由」や「清算人の選任方法」であり、法務局における登記申請手続きでも、定款がその法的根拠資料として要求されるためです。

定款記載事項がない場合は株主総会の特別決議で解散できますが、万が一定款に条項があれば必ず提出しなければならず、会社の最終段階まで定款が効力を有するということです。