各会社の役員は任期が決まっている?決め方について

会社の役員任期は、会社のガバナンスの重要な要素であり、役員の交代や再任を通じて新しい視点やエネルギーを導入する仕組みとして重要です。
任期の決定は、会社の種類や設立形態、定款によって異なります。以下に役員の任期についての詳細を解説します。
Contents
役員の種類と基本的な任期
株式会社の場合
取締役: 株式会社における取締役の任期は、原則として「選任後2年以内」と定められています。これは会社法342条で規定されています。任期の満了後は、再度選任されるか、新しい取締役が選ばれることになります。
監査役: 監査役の任期は「選任後4年以内」が基本です(会社法336条)。監査役は、会社の財務状況や取締役の業務執行を監査する役割を持つため、長めの任期が設定されています。
有限会社や合同会社の場合
組織の構造が異なるため、厳めに定められた任期は存在しないことが多いです。それぞれの会社の定款にて役員の任期を独自に設定することが一般的です。
任期の決定方法
定款による設定
定款は、会社の基本的な規則を定めた重要な文書であり、任期も定款で設定されています。会社設立時に、この定款に役員の任期を明記することができます。
短縮または延長: 定款により、法律で定められた任期よりも短縮または延長することが可能です。たとえば、中小企業では短い任期にして、より頻繁に取締役を交代させることで柔軟性を持たせることがあります。ただし、取締役の延長可能な任期の上限は10年までです。
株主総会
任期の設定や変更は株主総会での承認が必要です。株主総会では、役員の任期に関する議案が提出され、株主の過半数で可決されることにより、新たな任期が決定されます。
任期についての注意点について
任期の管理
役員の任期管理は、会社のコンプライアンスにとって重要です。正確な任期管理を怠ると、会社運営に支障をきたす可能性があります。
役員変更登記: 任期満了や役員変更時には、法務局での登記変更が必要です。登記を怠ると罰則が科されることがあります。
任期終了後の再任
取締役や監査役が任期終了後に再任される場合、再任の手続きを株主総会で適切に実施する必要があります。再任が決定されるまでは、現役の役員が引き続き職務を遂行することが慣例です。例えば、任期を伸長して10年にした場合、10年ごとに再任(=重任登記)による役員の更新をする意味合いで法務局に登記を申請する必要があります。
任期を巡る現代の動向
ガバナンス強化の必要性
企業ガバナンスの強化により、最近では任期を短く設定する動きも見られます。短い任期にすることで、役員のパフォーマンスにおける評価を頻繁かつ継続的に実施し、適宜新しい視点や戦略を導入することが期待されています。
社外取締役の登用
社外取締役を登用する企業も増えており、彼らの任期についても定款や株主総会で適宜設定することが必要です。社外取締役の登用は、経営陣に対する独立的な監視やアドバイザリーの役割を果たします。
まとめ
役員の任期は、会社の統治や運営の柔軟性を確保するための重要な要素です。任期設定は会社の文化、規模、戦略に基づいて適切に設計する必要があります。
会社法の規定に従いながら、ガバナンス体制の強化を念頭に、独自の任期を設けることが求められます。
役員任期の管理が不十分だと法令違反や経営不振の原因となりうるため、法務や総務部が中心となって適切な管理体制を構築することが必須となります。