こんにちは。

あい総合事務所です。

相続登記は、相続によって得た不動産などの名義変更を行う重要な手続きです。

日本では、相続が発生した場合には一定期間内に相続登記を行うことが求められていますが、実際には多くの人がその手続きを怠っている現状が見られます。

本稿では、相続登記の準備について詳しく説明し、特に広島県における現状を交えながら考察します。

相続登記とは

相続登記は、亡くなった人より遺された不動産の名義を相続人名義に変更する手続きになります。

具体的には、登記に必要な書類を整備し、法務局に申請することを指します。相続登記が必要な理由は、所有権を明確にすることで、今後の不動産の売却や処分、また相続税の評価などに役立つからです。

相続登記を行うには、以下のようなステップが必要です。

1.相続人の確認

相続人を確定させるためには、故人の戸籍謄本を取得し、死亡届や相続関係を証明する書類を用意します。これには、相続人の戸籍も必要です。

2.遺産分割協議書の作成

相続人間で遺産の分割方法を話し合い、合意した内容を記載した遺産分割協議書を作成します。全ての相続人の署名や押印が必要になります。
押印は実印で印鑑証明書も必要

3.必要書類の準備

登記申請に必要な書類には、相続人の戸籍謄本遺産分割協議書登記申請書、相続税の申告書(必要な場合)などが含まれます。

4.法務局への申請(管轄法務局に注意!)

準備が整ったら、法務局へ申請を行います。登記が完了すると、所有権移転登記がされ、新しい登記簿が発行されます。(不動産の管轄毎に申請法務局も異なります。当事務所がある広島では、広島法務局以外に、可部出張所、呉支局、三次支局、東広島支局、廿日市市支局、尾道支局、福山支局があります。)

広島県の現状について

広島県では、相続登記の滞りが問題視されています。特に、高齢化社会の進展に伴い、相続が発生するケースが年々増加しています。

しかし、相続登記を行わないまま放置されている不動産が多く、これが後々の相続人間のトラブルや地域社会の問題にも繋がっていくリスク(※後述します)を抱えている状況を生んでいます。

近年、広島県内でも相続登記の義務化の動きが見られます。2024年からスタートした新制度により、相続登記は義務化され、相続が発生した際には必ず登記を行うことが求められるようになりました。

2020年度における全国平均で、相続登記をしていない不動産の割合は約50%とも言われています。広島県においても同様の状況が見られるでしょう。特に、高齢化が進む地域では不動産の相続が発生する一方で、相続登記が行われないケースが多いと推測されます。

この改正により、未登記不動産の解消や、相続に関する手続きの円滑化につなげることが求められているということが言えます。

相続登記未了のリスク

相続登記を行わないまま放置しておくと、様々なリスクが生じます。まず、相続人間での争いが発生する可能性があります。

特に、複数の相続人がいる場合、名義が故人のままでは所有財産の分配が難しくなりトラブルの原因になります。

また、相続税の申告義務を果たさないと、税務上のペナルティが課されることもあります。

さらに、登記が済んでいなければ、万が一の事故やトラブルが発生した時に権利関係が不明確になり、法的なトラブルの元になります。

相続登記を促進するには

相続登記を促進するために、市町村や関連団体と連携し、相続登記に関する専門家による相談会を開催することが有効です。専門家によるアドバイスを受けることで、相続人が登記の重要性を理解し、スムーズに手続きを進めやすくなります

また、相続登記のオンライン申請を促進することで、手続きの簡素化を図ることも重要です。

インターネットを活用した情報提供や必要書類の電子化が進めば、より多くの人が手軽に相続登記を行えるようになるでしょう。

まとめ

相続登記は、遺産の分配や権利の明確化に必要不可欠な手続きでありながら、実際には多くの人がその手続きを怠っています。

広島県においても、相続登記の義務化が進む中、地域社会全体で相続登記の重要性を再認識し、各種支援制度を活用して手続きを迅速に進めることが求められています。

相続登記を適切に行うことで、将来のトラブルを未然に防ぎ、安心して生活できる日本社会を築く一助としたいものです。